『犬婿入り』(多和田葉子)を読んだ

 新聞の連載小説を読み通したことが私はない。新聞小説というものは昔からある。漱石朝日新聞の社員になり新聞小説の書き手だった。それはともかく、朝って,2022年2月1日(火)から、多和田葉子さんが朝日新聞に連載小説を開始するんだという。それで、今度は読んでみたい。そこで、多和田さんの芥川賞受賞作『犬婿入り』を稲城図書館から借りてきた。この小説は、雑誌「群像」(1992年12月号)に掲載されたものだ。借りてきた単行本には、『ペルソナ』という小説の2編が入っている。
 『犬婿入り』を読んでみた。至極短いものなので1時間で読めた。訳がわからんお話だ。チョット気持ち悪い筋立てだ。何を言いたいのかもわからない。この小説が、受賞した折の、選考者のコメントを読んでみたい。文藝春秋のバックナンバーは読めないだろうか。文体も冗長である。いまはドイツに在住の多和田さんもこの頃は日本にいたんだろうか。多和田さんは、1960年の東京生まれで、早稲田大学第一文学部を経て、ハンブルグ大学修士課程修了。1982年よりハンブルグ在住と経歴にあった。ということは、芥川賞を受賞した時も、ハンブルグにいたんだ。早稲田の第一文学部卒で、ハンブルグ大学留学だからドイツ文学専攻科と思ったら、露文卒だという。ということは、ロシア語もドイツ語もできるんだろう。1991年、『かかとを失くして』で、群像新人文学賞受賞。1992年、『三人関係』で三島賞野間文芸新人賞の候補、『ペルソナ』が、芥川賞の候補(『群像』1992年6月号)になり、1993年に『犬婿入り』で芥川賞を受賞した。順調な作家生活に入ったひとなんだ。してみると、私には訳の分からないこの『犬婿入り』も随分評価がたかかったんだろう。